今年10月9日までの一週間で報告された、マイコプラズマ肺炎の患者数は、1医療機関あたり1.33人を記録しました。
これは、過去10年で最も多かった2011年のマイコプラズマ肺炎の患者数に次ぐ多さとなっています。
マイコプラズマ肺炎にかかりやすいのは、主に保育園や幼稚園に行っている子供です。
保育園や幼稚園に行っている子供から大人に感染するというケースもあります。
マイコプラズマという病原体が引き起こすマイコプラズマ肺炎は、頭痛、発熱などの症状に加えて、激しい咳が長く続くのが特徴です。
子供以外にも高齢者や、いろいろな病気などで呼吸機能が低下している人はマイコプラズマ肺炎が重症化することがあるので、気を付けなければいけません。
夜も咳がコンコンし、眠れない、せき込んで吐いてしまうなどの強い咳がある場合は、風邪ではなくマイコプラズマ肺炎かもしれません。
お子さんが激しい咳をしているときには、注意してみるようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎の症状と予防法とは?風邪との違いは?学級閉鎖も
<マイコプラズマとは?>
マイコプラズマ肺炎を引き起こす「マイコプラズマ」とは、「ウイルス」と「細菌」の中間に位置する「微生物」です。
マイコプラズマは、ウイルスのように他の生物の細胞の力を借りて増殖せず、細菌と同じく自分の力で繁殖します。
マイコプラズマは細菌より小さく、インフルエンザウイルスとほぼ同じ大きさです。
また、マイコプラズマが体に入り、発症するまでには、1~3週間ほどかかります(潜伏期間)。
<マイコプラズマ肺炎とは?>
マイコプラズマ肺炎は、風邪に似た症状です。
主な症状は、発熱・頭痛・咳です。
高熱が出る人もいるし、それほど熱が高くならない人もいます。
特徴は、強い咳。
感染経路は飛沫感染なので、マスクをして感染予防をすることが有効です。
<マイコプラズマ肺炎の感染を防ぐ方法は?>
重症化すると脳炎や肝炎を併発する恐れのあるマイコプラズマ肺炎の感染を防ぐためには、どのような対策をすればいいのでしょうか?
肺炎は日本人の死因の第三位です。
マイコプラズマ肺炎も「肺炎」とつくのでドキッとしますが、肺炎の中でもマイコプラズマ肺炎はかなりかかる人が多い病気で、子供がかかりやすい肺炎です。
普通の肺炎は「細菌性肺炎」といい、「肺炎球菌」や「インフルエンザ菌」といった細菌が起こす肺炎です。
マイコプラズマ肺炎は「細菌性肺炎」と比べると症状は軽いとされています。
マイコプラズマ肺炎は、潜伏期間が1~3週間と長いため、潜伏期間中に人にうつしてしまう可能性があります。
また、マイコプラズマ肺炎の特徴でもある「強い咳」が出てくる前は、医者でも風邪と間違えやすいため注意が必要です。
マイコプラズマ肺炎の症状と予防法 風邪との違いは何
2016年のマイコプラズマ肺炎の患者は、2011年以降2番目の多さです。
マイコプラズマ肺炎と風邪を見分けるポイントは「せき」です。
マイコプラズマ肺炎の場合のせきの特徴
1. せきが強い(1日中せきが続き、夜に何度も目が覚める)
2. 咳が長引く(1か月近く長引くことも)
3. たんが絡まず乾いたせき
<せきの違い>
マイコプラズマ肺炎
一日中咳が出る。
たんが絡まず乾いた咳が1カ月続くこともある。
夜寝ている時も咳がでる。
細菌性肺炎
風邪と同様のせきが出る。
起きている時、寝入りばななどに咳が出る。
特に朝起きた時に咳がひどくでて、たんがからんだ咳。
せきだけでは風邪と区別がつかない(マイコプラズマよりも高熱、倦怠感が強い)
百日ぜき
子供:短い間隔でせきが出る。「ケンケン」と言った咳、「ヒュー」といった音が出る。
大人:マイコプラズマ肺炎と似ている。
結核
風邪のようなせきが約2週間続き、徐々に悪化する。
ぜんそく
夜中に咳が出る。
風邪
起きているとき、寝入り、起きた時にたんがからんだ咳が出る。
マイコプラズマ肺炎にぜんそくを合併したりする症状もあるので、咳だけで判断はできないが、だいぶ目安にはなります。
マイコプラズマ肺炎は、これまでかかった風邪とは何か違う、風邪に比べて症状がつらいと感じたら、医療機関で相談するのがいいですよ。
<マイコプラズマ肺炎の診断方法>
1. 血液検査
マイコプラズマ肺炎に感染した時に血液中につくられる特異抗体を調べる。
しかし、結果が出るまでに1週間前後かかってしまうので、結果が出た頃には治っている場合が多い。
治ったあとに「マイコプラズマ肺炎でした」と言われる感じです。
2. 抗原検査
喉の奥から菌をとって調べる
3. DNA検査
つば、たんから、マイコプラズマDNAをとって調べる
<マイコプラズマ肺炎 治療法>
治療法:適切な抗生剤を決められた量、飲み切ることが大事。
予防策:手洗い、マスク
マイコプラズマは、耐性菌と言って、以前は使われていた「マクロライド系の抗生物質」が効かなくなってきています。
今のマイコプラズマに効く、適切な抗生物質を飲むことが大事です。
抗生物質ならなんでもいいわけではないのです。
余談ですが、基本、風邪の時は抗生物質は必要ないとされています。
抗生物質が必要ない「風邪」と抗生物質が必要な「マイコプラズマ肺炎」をどう見分けるかなのですが、これは医者でも100%見分けるのは難しいそうです。
素人からすると、疑わしいものはなんでも検査すればいいのでは?なんて、思ってしまいますが、風邪の人が全員マイコプラズマ肺炎の検査をしていたら大変な量になりますし、費用が掛かり過ぎてしまうそうです。
だから、症状が重い人だけ検査して治療するんですね。
マイコプラズマ肺炎に効くとされる抗生物質を適切に飲めば、治る病気なので、最近家族やクラスメイトがマイコプラズマ肺炎にかかったなど、マイコプラズマ肺炎の可能性が高い場合は、診察の際に医師に自己申告するといいですよ。
ちなみに、マイコプラズマ肺炎は、放っておいても治る人もいるので、それほど神経質になる必要はありません。
軽い人の場合は、普通の風邪だと思っていたまま治ってしまったりします。
でも、高熱やひどい咳が続いていたら、無理せず病院で薬をもらって休みましょう。
<マイコプラズマ肺炎感染者 年齢別割合>
0~4歳:30%
5~9歳 22%
10~14歳 12%
15~19歳 3%
20代 6%
30代 7%
40代 4%
50代 2%
60歳以上 14%
マイコプラズマ肺炎の症状と予防法とは?すでに学級閉鎖も出ている
<マイコプラズマ肺炎による学級閉鎖>
茨城・牛久市(10月3日、4日)
マイコプラズマ肺炎、またはその疑いによる欠席者が増加したため
鳥取・南部町(10月4日、5日)
在籍者21人中4人がマイコプラズマ肺炎に感染
<マイコプラズマ肺炎による合併症>
まれではありますが、マイコプラズマ肺炎による合併症を引き起こすことがあります。
・重症肺炎
・脳炎
・肝炎
など
まとめ
マイコプラズマ肺炎はあなどれない病気ではありますが、それほど怖がる必要もないと言えます。
正しい知識をもっていれば大丈夫です。
コメント